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わたしは価値を創る

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市場シェア理論と射程距離理論

市場シェア理論と射程距離理論

ランチェスター戦略の白眉とでもいうべきが、「市場シェア理論」と「射程距離理論」です。これは、B・O・クープマンの「ランチェスター戦略モデル式」を元に、田岡信夫が、高野山にこもって創り出したと言われています。

ランチェスター戦略において、市場シェア理論は、販売競争の優劣を測るモノサシとして使われています。それは、市場シェアが高い企業は、その市場から獲得できる利益も相対的に高いという仮説からなっています。もちろん、そうではない場合もあります。2位の企業が、1位の企業より利益額が大きいという例は、いくらでもあります。それでも、実際には、市場シェアにおいて圧倒的な1位を得ている企業は、最大の利益を獲得していることが殆どです。

それでは、市場シェアをどれぐらい獲得すれば、他者と比べて、圧倒的に有利だと言えるのでしょうか。それを明確に提示したのが、「市場シェア理論」です。

市場シェア理論においては、
1.73.9%(上限目標数値)
2.41.7%(相対的安定値)
3.26.1%(下限的目標値)
というシンボル数値が提示されています。

ランチェスター戦略において、73.9%のシェアを獲得することは、完全独占状況を作り出すことであり、最終的な目標値であります。むしろ、それ以上のシェアを獲得することは、市場そのものや企業にとって、必ずしも有利な状況ではないと考えられています。

これに対して、41.7%は、業界の主流になり、独走状態に入る数値であると考えられます。よく経験則的に、40%以上のシェアをとれば安心であると言われますが、その根拠となるのが、この数値です。この数値を境に、利益率も他者と格差がついてきます。

26.1%という目標は、激しい競争状況の中から一歩抜きん出て、安定的な強者になるための境目の数値であると考えられています。すなわち、1位といってもいつ逆転されるか分らない状況から、ある程度安定した強者になるのが、26.1%です。

これ以下の目標数値としては、19.3%、10.9%、6.8%、2.8%などがあります。

市場シェア理論は、企業活動において、やみくもに頑張るという状態から、自社の目標値を明確に設定するための基準となります。

ところで、ある市場において、どの程度の強者となら、戦って勝ち目があるのでしょうか。

その基準を射程距離理論が示しています。

射程距離理論においては、局地戦や一騎打ちの戦いにおいて、3対1以上の差がついてしまえば、逆転することができないとされています。局地戦ということですから、店内シェアや、納入比率での争いということです。

これに対して、広域戦(全国や県レベルの戦い)においては、√3対1以上の差がついてしまえば、逆転は不可能であるとされています。

逆に言えば、敵に対して、3対1もしくは√3対1以上の差をつけてしまえば、まずその地位は安泰であると言えます。

もちろん、例外はありますし、3対1以上の差をつけられた時の戦い方も、ランチェスター戦略は示しています。

しかし、圧倒的な強者に無謀な戦いを挑み、いたずらに損害額を増やすよりは、そのような強者との戦いを避けるというのも立派な戦略です。また1位の企業からすれば、敵に3倍(√3倍)以上の格差をつけることが、目標となります。


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